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高島平

2000/05/18


高島平には高層団地群が有ります。

以前(20数年前)そこに住んでいました。
当時は、比較的屋上に出ることが容易であり、今の様に高いフェンスもありませんでしたのでかなりの方が屋上から飛び降り自殺をされていました。

朝、学校に行くとき人だかりが出来ていて横たわったって息絶えた人、その周りの血のりを遠目に眺めながら、

「また、自殺だ。」

余り気持ちのいいものではないので、近寄らない様にその場を通り過ぎることを何回か経験しました。

飛び降りの人は、夜飛び降りる人が多いので朝の発見が多いい様でした。

そんな状態の団地です。

ある夜、ベットに横になって窓の方をぼんやり眺めていたときです。
黒い大きな陰が上から下へ移動しました。

「何だろう。」

薄々は感じていましたが、確認の為窓から下を覗きました。
案の定、横たわっている人らしきものが見えます。

「おかあさん、人が落ちた。」

第一発見者になりました。
最初で最後の経験です。現実には。

警察への事情聴取などを終えその日は終わりました。

次の日、同じ様な状態で同じ経験をしました。
前日の第一発見者と言う経験に少しは鼻高々だったので、

「またか。」

と少し期待して窓から下を覗きました。

でも、下には何もありません。

「なぁんだ。」

すこしがっかり気味で頭を部屋に戻そうとした時、何気なく屋上の方を見ました。

その時、上空から落ちてくる黒い大きな陰が見えます。
頭から落ちてくるその影の顔がハッキリ見えました。

大きく目を見開き、大きく口を開けて苦悶に歪んだ顔が一瞬の間に迫ってきます。

「もう駄目だ。ぶつかる。」

顔を引っ込めれば済むことですが、体がすくんで動きません。

「あぁ、もう駄目だ」

確かに接触しました。タイミング的には。
また、間近で苦悶に歪んだ男の人の顔を見ました。

しかし、自分は無事です。
部屋に座り込んで母親を呼び確認して貰いましたが窓の下には何もありませんでした。

その後、不規則ですが何度か部屋の中からその黒い陰を目撃しました。

でも、もう、覗きません。
次は、連れて行かれそうだったから。


<nimitoさん>