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呼ぶ声

2000/04/18


友達と2人で深夜のドライブに行った時のことです。

伊豆スカイラインを箱根方面い向かって走らせていたときです。
ここは、伊豆半島の背骨と言われるように伊東から熱海迄伊豆半島に真ん中の山の頂上に沿って道路が通っています。
深夜は料金所が閉まっているので無料の道路となります。料金が無料なので沢山の車が走っていると思われるでしょうが山の頂上を夜中に走っている車は余りありません。従って、スピードは出し放題、対抗車線などは気にせずカーブに突っ込んでいけます。

その夜も気持ち良く車を走らせていました。
丁度、昼間なら左手に富士山が真正面に見える駐車場(停車場)が有る場所にさしかかりました。
富士山の方を見ると富士山の黒いシルエットがうっすら見えます。その時、

「おーいっ」

と声がします。

「今の聞こえた?」

運転している友達に聞きました。

「聞こえたよ!」
「あっ。あそこの駐車場で手を振っている奴がいるぞ」

30メートル位離れた場所で手を振っている若い男がいます。

「あいつ事故ってんじゃないのか」
「いいから、見るな。無視しろ。」

運転している友達は、その男を見ないように車のスピードを上げました。

すれ違い様、また、

「おーいっ」

と今度はかなり大きな声で聞こえます。

「止まってやろうよ。」
「いいから、見るな。見るな。」

でも私は、その若い男見ました。
別段、変わったところがないオートバイに乗るときに着ている黒の皮のつなぎをきた男でした。
彼の横には横倒しになったオートバイが有りました。

「おまえ、薄情だな。あいつ、事故ったんだよ。困ってるかも知れないぞ。」

友達は無言で車を走らせ、伊豆スカイラインの料金所を過ぎ十国峠のドライブインの駐車場まで行きました。
このドライブインはアベックの車が何台がいて、少し賑やかになっていました。
車を止め運転していた友達が、

「さっき、”おーいっ”って聞こえたよな。」
「おまえ、薄情な奴だな。」
「気が付かなかったか?」
「何が?」
「あいつの声、かなり離れた所から聞こえたよな。」
「うん。」
「車の窓が全部閉まっていて、カーステレオまで付いている車内で普通外の声が聞こえると思うか」

”ぞーっ”として全身に鳥肌がでました。
確かに、外の声など聞こえるはずが有りません。
でも、2人目撃しているので存在していたことは確かです。
自分は、すれ違い様に目と目が合っています。

「なんか、また合いそうで怖いから、他の車が出たらその後付いていこう。」

と暫く待って、箱根方面に走り出した車の後ろに付き無事に小田原までたどり着きました。

あの若い男は、あの当たりで事故って亡くなった人なのでしょうか?