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48話



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スピード取締

 


 

自分の車には、スピード取締用のレーダーが着いています。

何ヶ月か前に40Kmオーバーで捕まりたんまりと罰金を取られた為、いろいろな機種を比較してレーダー波をとらえて、且つ、無線を傍受できるとものを購入しました。

通常は、自動ドアとかの間違い電波はとらえない機能が付いているのでうるさくありません。何度か、このレーダーの為に取締を回避できました。

ある晩、飲み会が有り飲酒運転で帰宅する時がありました。その時は、幹線道路のは通らず、車の行き来がほとんどない舗装されていない道を通って帰ることにしました。木々に覆われた1車線の道を進んで行くと、

「ガガァー、ジジー」

レーダーの無線傍受の機能が働きだし、ガーガー鳴り響きます。何事かと思っていると、

「絶対許さない。」

と女性の声が入りました。その声は、泣いている様な、しかしキッパリとした口調で自分の無念さを相手に訴えているかの様でした。いくら無線とは言え半径数十メートルの範囲での強い電波しか拾えない品物です。その電波も限られた周波数のものしか拾えません。こんな人気の無い回りが見通せる道の中で警○無線をしている女性がいるわけがありません。

そのうち、レーダーが反応します。

「ピピー、ピピー」

思わず、

「まずい、取締だ」

さっきの声も婦警さんの声か?と思い、スピードを落としましたが、それと同時にレーダーの警告音は止まり静かになりました。

しばらく走りましたがそれらしい姿は見あたりませんでした。

よくよく考えて、こんな車の滅多に通らず身を隠せるところが無い道で一斉取締を行うわけがありません。

急に物凄く怖くなり全身が総毛立ち身震いしました。それと同時に、女性の”絶対許さない。”という声が頭の中で響きます。

「ガガァー、ジジー」

また、無線に雑音が入ってきました。

「やばい!」

すぐに無線のスイッチを切りスピードを上げてその場を離れました。

家に帰って、車から降り玄関に向かう途中振り返って車を見ると、ユリゲラーのスプーン曲げの様に車のラジオのアンテナがクルクルと2回転ぐらいねじ曲げられていました。

あの女性は、何が許せなかったのでしょうか。あの場所で何か事件が有ったとは聞いていませんが、人知れず無念の涙を呑んで女性の怨念が残っているのでしょうか。

その怨念の波長が、たまたま、自分のレーダーと合って無念の声が聞こえたのでしょうか。