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骨 壺

2000/04/08


ご近所の人が家にいました。

私の母親になにやら相談しています。

「うちの子、小学校3年なってから、急に おねしょ がはじまちゃって困ってるの」

と自分の息子のおねしょの事で相談に来ていました。

「最初の頃はただ頭ごなしの怒っていたけど、余りにも回数が多いし本人も落ち込んじゃってね。何でこんなに おねしょをするのか聞いてみたの」
「それで」
「そしたら、おねしょをする時に必ずおばあちゃんが出てくると言うのよ」

ご近所の人が言うには、息子さんがおねしょをする時、必ず、既に亡くなっている祖母が自分の入っているお墓の前でニコニコしながら座っているそうです。
そのおばあさんは、優しく、微笑みを絶やさずにどこからともなく水を汲んできて息子さんに呑ませるそうです。
その水はとても美味しく何杯も何杯も呑むそうです。
すると、その息子さんは尿意に襲われおばあさんに、

「オシッコしりたい」

と訴えます。するとおばあさんは、白い陶器の入れ物を出してこの中にしなさいと言うのだそうです。
息子さんは、優しいおばあさんに言われた通りにその中にオシッコをしります。
そこで目が覚め自分の おねしょ に気が付くそうです。

「あまりにも、頻発するのでちょっとおかしいと思うのよね。おばあさんの供養もちゃんとしているし何で夢におばあちゃんが出てくるのか分からない。」
「そうだよね」
「そこで、あなたのおばさんに霊感が強い人がいるって言っていたのを思い出して一度見て貰おうと思って」
「そうね。明日、呼んでおくから息子さんと来て」

翌日、霊感の強いおばさんが私の家に来ました。

「あたしは、霊能者じゃないから分からないかも知れないよ」
「まあ、ちょっと見てあげて」

暫くして、ご近所の人が息子さんを連れてやってきました。

「この子がそうなの?」
「はい」
「おばあさんが居るね」

霊感の強いおばさんが言うには、その息子さんの後ろに優しそうなおばあさんが居るそうです。だけど、とっても困っている様子だそうです。
また、そのおばあさんは、雨の中を歩いて来たようにずぶ濡れになっているそうです。
その光景をそのまま伝えました。ご近所の人は、

「心当たりが無いです。なんだろう」

と首を傾げています。その時、息子さんが、

「何で、おばあちゃん 白い入れ物にオシッコさせるのかなぁ」

と言ったと同時に、おばさんが

「ぼく、その白い入れ物ってこんな形じゃない」

とその息子さんに説明を始めました。その息子さんは、おばさんの説明を聞き確かにそんなものだったと答えました。

「そりゃ、骨壺だね」

と言いましたが、ご近所の人は心当たりが無いと言います。

「一度、そちら様のお墓に行って見ましょうか」

とご近所の人のお墓に行きました。お墓自体何の変わったところは有りませんでした。

「ちょっと、骨壺を見てみようか」

とおばさんは墓石の前の板状の石をどけて丁度お墓の真下の骨壺を納め手有るところを覗きました。
そこから、一つの骨壺を手前に引いてきて、

「これは、そちら様のの祖母様のですか」
「そうだと思います」
「空けてもよろしいでしょうか」
「はい」

と言うことで骨壺を開けると何故か骨壺の中は水が一杯に張った状態になっていました。
どうやら、陶器の蓋の部分にひびが入っていて雨水等が骨壺の中に浸入したようです。

「これが原因だね」

おばさんは、丁寧に骨壺の中の水を抜きお寺の住職に訳を話して来ていただいてお経を上げて貰いました。
その時、その息子さんの後ろにおばあさんが現れニコニコして消えていったそうです。その時は、ずぶ濡れ状態でなかった様です。

その後、息子さんのおねしょは ピッタと収まったそうです。

ご近所の人は、私のおばさんにお礼がしたいと現金を持っておばさんに会いましたが、おばさんは、

「あたしは、商売でやってるんじゃないからそんなものはいらない」

とキッパリ断っていました。

さすが、おばさんと感心し、改めて尊敬してしまいました。