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不思議な夜

 


小学校の6年の時、友達から”かしまさん”の話をされ、その日から金縛りを経験する様になりました。
これは、高校3年まで続きました。

”かしまさん”の話で、3日以内に”来る”と言うので3日間悪夢にうなされました。結局は、何も起らなかったのですが以後金縛りが頻繁に起こるようになりました。

最初の内は、訳が分からないままでいましたが、1ヶ月もすると”あっ来る”と言うのが分かるようになりました。

まず、布団に入っているにもかかわらずつま先に”ふぅー”と言う感じで風があたります。その後、”ピキーン”と言う感じで体が硬直します。この時、顔が掛け布団に掛かっていると呼吸困難となり非常に苦しむことになります。

最も嫌なのは、体がに対して何かされる時です。 ”きん○ま”を鷲掴みにされて、クルミを2つ持って”コリコリ”される様な時は声にならない悲鳴を上げてその苦しみと戦います。心臓を鷲掴みにされた時は、”もう駄目だ”と観念するほどの状態となり金縛り解除後も心臓の鼓動が不正となっていたりします。その他、足をもたれて振り回される時は、頭の欠陥が切れる程の体験をします。

その中でも、1つだけ、とっても不思議な体験が有ります。

中学3年まで、1つ上の兄貴と一緒の部屋で過ごしました。2段ベットが有り、上に兄貴が寝ていました。
それは、中学2年の冬、兄貴が高校受験で試験勉強を遅くまでやっていて僕は先に寝る事が多くなっていた頃です。

僕の金縛りは、大概、朝方に起こるので一人で戦うことになるのですが、その日は、早い時間におこりました。傍らでは、机に向かって勉強をしている兄貴がいました。僕は、この状態を兄貴に知らせて助けて貰おうと必死の思いで声を出そうとしました。しばらく、抵抗していると、

「うるせぇ!」

と兄貴から蹴りを入れられ金縛りは解けました。

「おい、うるせぇぞ。勉強できないじゃないか」

かなり文句を言われましたが、今の状況を救ってくれた兄貴に対して感謝の気持ちで、

「助かったよ。今、金縛りにあっていたんだ。」
「お前は、ウーン、ウーンうなされていただけだったぞ。金縛りなんか有る分けないじゃん」

と言われました。時間は11時でした。

部屋の中は煌々と明かりが点いていてホッとしました。その後、兄貴が傍らにいる事に安心してそのまま寝てしまいました。

翌朝、朝食の時、

「夕べは助かったよ。金縛りから助けてくれて」

と兄貴に改めてお礼を言いました。

「へっ。何言ってのそんなこと知らないよ。」
「何言ってんだよ。11時頃、蹴り入れたじゃないか」
「絶対そんなこと無い。俺、9時から0時頃までTV観てた。親父に聞いてみな。」

父親に確認しました。

「観てたよ。息抜きのためとか言って」

僕は訳が分からなくなっていました。確かに、時計は11時でした。

「絶対そんなことはない」

と言いましたが、両親、兄貴、3人揃ってTVを観ていたと言います。 しかし僕は、確かに夢でなく現実に11時に起こされ、はっきり兄貴とも対話しました。

「そんなこと無い」

と余りにくどくいて言った為、兄貴から一発食らってその話は終了しました。

僕は、納得できないまま数年が経ち社会人となり兄貴に再確認しましたがやはり結果は同じでした。

金縛りにまつわる体験で最も不思議な体験でした。