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28話



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我が家の愛犬は、夏の夜など窓や壁の1点を見つめて、

「クキューン、クォォーン」

等の奇声をあげる事がしばしばあります。
その先には、昆虫などの小動物が居て、狩猟本能でしょうか捕まえ様としきりに飛び跳ねたり顔を近づけたりしています。
日常的なことです。

ある秋の日、窓の1点を見つめてじっとしていたときが有りました。
また、何かの小動物が居るのだろうと思い気にしませんでしたが、いつもの奇声が上がらないことに気が付きました。
どうしたんだろうと、監視していると真剣そうな顔で窓の1点を見つめています。
名前を呼びますがチラ顔を向けるだけでまた元に戻ります。 そのうち、歯を剥き出して、

「ガゥゥー、ガゥゥー」

顔をそむけ、目だけ窓を睨みながら唸っています。その光景を呆気にとられて見ていました。
何秒かしてから顔を窓の四方に動かししきりに何かを追っている様なそぶりを見せ、少しずつ後ずさりしながら唸っています。

何かいるのかと窓を見ますが何も見えません。 その時、

「バシャァーン」

と窓が風を受けた時の様な物凄い音がしました。
家の窓は木枠の古いタイプのものなので風に吹かれたとき、人が歩いているときの振動でも”ガシャン、ガシャン”なりますがこの時の音は窓枠を手で”ドンッ”と押す/叩く様な事をしないと出ない様な音でした。

「キャィン、キャィン、キャィン」

我が家の愛犬は、夢中で逃げていきました。

その時の怯えた顔、心臓のテンポの速い鼓動、荒い息はただごとではないという様子でした。

窓の外を確認しますが何もありませんでした。その日、1日、我が家の愛犬はその窓に近づこうとしませんでした。

何が見えていたのでしょうか。