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お守り

2001/07/13


あれは忘れもしない小学校3年の2学期です。

壁新聞委員だったのでその日も放課後みんなで壁新聞作成に没頭していました。
一心不乱に作業をしていると時間がたつのは早いものでいつの間にか辺りは暗くなり 下校時刻もとっくに過ぎて、みんな先生に見付からない様に残りの作業を続けました。
5時を回った頃、周りを片づけて校門までみんなで行きそこから各々家路へと向かいました。

季節も12月の為、辺りは真っ暗となっています。
我が家は、住宅街を抜け人通りの少ない郊外に有りました。
しかし、いつもの道なのでなんら変わりなく歩いていました。
いつもの大きな桜の木の前を通るとき、なにやら得体の知れない恐怖を感じ立ち止まってしまいました。
頭の中では、

「早くここから離れて、家に帰らなくちゃ。」

と思っているのですが、蛇に睨まれた蛙とでも言うのでしょうか、その場から身動きが出来なくなってしまいました。

「桜の木の所に何かいる」

直感的に”その何か”を感じました。 が、どうにもなりません。
その時です。
よく、ランドセルの横にキーホルダーとか付けるところが有るじゃないですか。
自分のランドセルには、母親が、

「頭が良くなる様に。」

と、ランドセルに吊してくれた学業成就のお守りが有りました。
そのお守りから、タバコを”フゥ〜”と吹いた時のような白い煙が物凄い勢いで桜の木に向かって襲いかかりました。
表現としては適切でないかも知れませんが獲物に襲いかかる虎の様にも思えました。
一瞬の出来事でしたがその後、

「ハッ!」

て感じに我に返りその場から家まで走って帰りました。
家について、お守りを見ましたが別段変わった様子は有りませんでした。
母親に話すと、

「早く帰ってこないから!暗くなる前に帰りなさい。」

と全然取り合ってもらえませんでした。
でも、確かに見たあの白い煙は、何か”良からぬもの”から自分を守ってくれたのだと確信しています。

<pank001さん>