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2001/02/24


雨の日は嫌いです。

あの湿った感じ、濡れて冷たくなった洋服や靴、何とも憂鬱な気持ちになってしまいます。
但し、こんな気持ちになるのはある出来事が大きな要因になっています。

ある雨の日、いつもの様に出社しました。
弱い向かい風が吹いているので駅までの道は傘を前屈みにして下を向いて 歩いていました。
その姿勢では、前方の視界が遮られているので濡れた地面の 3m先ぐらい先しか視野に入いりません。
暫くすると、突然、私の進行方向を遮るようにグレーのスラックスを履いた 男性が仁王立ちの様な格好で立っていました。
勿論、膝から下がみえ濡れた路面に鏡の様にその姿が映っていました。

突然の事に驚いて、立ち止まり、それと同時に傘をあげ前方を確認しましたが その男性は忽然と姿を消していました。
周りには、それらしき男性はいません。
唖然として立ちつくしている私を、同方向に足早に進んでいる人たちが怪訝そうに見ながら追い越して行きます。

「勘違いかな。」

気を取り直して駅へと向かいます。
すると、また、グレーのスラックスの男性が....。

気分が悪くなった私は、会社を休むことを決意しマンションに戻りました。
会社には、

「気分が悪いので、欠勤します。」

と連絡し”ボー”としていました。
10時頃、何気なくテレビにスイッチを付け雑誌を見ていると、

「....、バスの乗客は...、重軽傷..。」

との報道。
よく見ると、いつも乗っているバスが玉突き事故に遭い、後ろから 突進してきた大型トラックの運転手と最後部に乗っていたバスの乗客5人が死亡したとの事。

ゾーとしました。

何故なら、いつも私が乗るバス、時刻も私が乗るバスと同じ時刻です。

「うそ。信じられない。」

心の底から実感し身震がしました。
その時、今日の朝の出来事が思い出しました。
あの、私の行く手を遮るグレーのスラックスの男性を...。

でも、一向に覚えがありません。
実家の父親は健在だし、それと言って懇意にしていてお亡くなりになった方はいないし、 謎は深まるばかりです。
その後、その男性は現れません。
今もいつも通り通勤しています。あのバスで...。

雨の日は憂鬱です。
また、あのグレーのスラックスの男性が出たらどうしようと。
もっと心配なのは、大事故の前にあのグレーのスラックスの男性がまた現れてくれるのか...。
何となくですが、

「今度は危ない!」

と思ってしまう今日この頃です。


<KYOKOさん>