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プール

2001/03/01


これは、昨年体験した最も怖かった話です。

住んでいるアパートは、月うん万円のボロアパートです。
真夏でもエアコンなどの上流階級の持つようなものはありません。
どうしても我慢できない時は、唯一ある家電の小さな冷蔵庫の扉を開け多少の冷気で火照った身体を冷やすのが精一杯です。
そんなボロアパートに帰省せずに残った奴らが何人か集まってきます。
ビールを飲んでその場限りの冷をとっても暫くすると前以上に暑くなってしまいます。

「おい。何とかなんないのかよ。エアコンぐらい入れろよ。」
”自分が入れればいいだろう!”

と言いたいところでですがこの方は1つ先輩なので ぐっとこらえます。

「近くに高校のプールがあるから行きますか。」

我ながら名案でした。
1人では怖いですが、この人数(5人)なら大丈夫。

「いいねぇ」

早速全員で、プールへと向かいました。
勿論。水着などありませんからフルチンで泳ぐことになります。

夜中の学校は、それだけで不気味です。
ましてや、プールは、不気味に水をたたえた暗黒の世界のようです。

「余りでかい声を出さないようにしよう。」

という間に、

「ザプーン。ザブーン。」

と大音響で飛び込みます。
怒られたら怒られたならその時考えようとみんなで大騒ぎをしました。
必ずと言っていいほど、この様な時に悪ふざけするのが最低1人はいます。
暫く、泳いでいるといきなり足首を掴まれ、驚きの余り水をしこたま飲み、

「ゲホゲホっ」
「ははは。わるいわるい。」

たわいもないいたずらですが、夜の不気味な学校のプールではその驚きは想像を絶してしまいます。
その後、後ろから抱きつかれるとか○○○○を掴まれるとか色々な意地悪をされ続けました。

5分ぐらいたったでしょうか。
お尻を鷲掴みにされ、両足首を掴まれました。
度重なるいたずらに頭に来ていた為、大暴れしてその相手を振りきり蹴りを入れました。

「ふざけてんじゃねぇぞ。」

と大声で怒鳴りプールから出てくる犯人を待ちます。

「お前何やってんの。」

プールサイドから友人の声がします。

「俺、完全に切れたよ。この野郎は誰だ。」
「誰って、プールにいるのはお前だけだぞ。」

友達4人は、既にプールから上がっていました。

「俺にちょっかいだした奴ここにいる。」
「ここにいるって、誰もいないぞ。」

暫く待ちましたが、シーンと静まり返る水面から人が出てくる様子はありません。
無性に恐ろしくなり夢中でプールから出ようと、みんなの所に向かいました。
何時、また、足首を掴まれるかと気が気ではありません。
プールサイドまでの間、物凄い長い時間に感じました。
プールサイドに手を突いて状態を水から上げた時、足の裏に何かの感触を感じました。

「うわぁー。」

思わず大声を上げました。

「どっ、どうした。」

みんなビックリして私がプールから出るのを助けてくれました。
自分の怯えた様子に、周りの友達も怖くなったのか急いでアパートに戻りました。
その後、今あったことをみんなに話しました。

「お前を脅かしたのは、最初の1回だけだぞ。それに、お前の○○○○なんて触るのも嫌だよ。」

話を聞くと、度重なるいたずらは友達4人の仕業ではなかったようです。
では、誰が自分にちょっかいを出していたのでしょう。
その後、足首、お尻を見ると、くっきりと爪痕や手形が残っていました。

あのプールにもしも1人で入っていたら...。
考えただけでも恐ろしいです。


<M.Mさん>