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庭の犬

2001/06/05


これは、友達に聞いた話です。

彼は、2学期に都内から引っ越してきました。
彼の父親は都内の会社に勤めていて賃貸マンションで生活していましたが、今回、我々の住む隣県に念願のマイホームを建て移住してきました。
活発な彼はすぐにクラスにとけ込んで我々の良い友達になりました。
10月も中頃になり、何となく彼の様子がおかしくなりました。

「夜になると庭に大きな犬がいる。」

彼が言うには、夜中、ふと窓の下の庭を見ると大きな犬(と思われる)がこちらを見上げながら唸なっているそうです。
窓を開けると、むき出した牙がよく見えるようです。
追い払いますが犬は逃げないので1階に降りて両親にそのことを告げ、庭に出てみると姿がいない。
絶対に犬が逃げられるようなところが無いはずなのに 。

彼の家には何度も遊びに行っているので、勝手知ったると言うのでしょうか 説明にも実感が湧きます。
彼の部屋は2階の庭に面した所にあります。
その庭は、柵が回りを囲みその柵に沿って草木を植えてあり、真ん中に置かれた 洗濯の物干しで一杯になる様な小さな庭です。
但し、柵が囲んでいる為小動物の進入はできない様になってます。
まあ、猫は屋根を伝って入り込めるでしょうが犬となると....。

それから2週間が過ぎますが毎晩同じ事の繰り返しだったそうです。
その後、さすがに彼の父親も何かおかしいと不動産屋やら近所の人たちに確認したのですが 皆、心当たりが無いようです。
彼の父親は、本気にって、お払いを考えたそうです。
でも現実は、そう簡単にお払いをしてくれるところは見つからず色々つてを使って 調べていました。
そんな時ですが、庭の端にキンモクセイの苗を植えようと掘っているとなにやら骨 らしきものが出てきてその回りには抜け落ちたであろう毛と肉片が少し出てきました。
不動産屋に見に覚えのない骨が出てきたことを告げ”どうなってるんだ”と文句を言ったが、解答は、 ”分からない”と言うことでした。
一つ分かったことは、庭に盛った土はある山(不当な場所ではありません)から持 ってきたものとわかり骨に関しては市役所に引き取って貰い、やはり犬らしいと言うことまで分かったと言います。

その後、家族で骨が出てきたところにお花や線香を供えるとその夜からは大きな犬 は出なくなったそうです。
総合的に推測すると、ある山で死んだ犬が土に埋もれてその土を彼の家の庭に盛ったと言うことですが、それ以上は分かりません。
また、その犬は決して鳴かず、人間を恨む様に唸っていただったそうです。
きっと、飼い主に裏切られ、捨てられ、人間を恨んで死んだ犬だったのだろうと言 う結論に達したそうです。

<桃太郎さん>