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小さな祠

2000/07/10


この間、友達が家に遊びに来ました。

「ねぇ、○○ちゃんのおばさんって霊能力が有るんだよね。」

いきなりの質問にとまどいましたが、

「よく知ってるねぇ。そうだよ。」
「相談できないかなぁ。」

友達が言うには、夜中、ベットに入って寝ようとすると遙か遠くから、

「コォーフォッ。。。。コォーフォッ。。。。。」

と何かの鳴き声が聞こえてくるそうです。
フクロウのそれとは違うようです。
その声が聞こえてくると、頭がジーンッと痺れてきて体が熱くなって来るそうです。
また、無性に悲しく、寂しくなり、やるせなくなってくるそうです。

恋煩いでは有りません。
生きて行くことが本当に嫌になってくるそうです。

友人の真剣な顔を見ると断り切れなくなり、

「今から行こうか。」

おばさんの家へ向かいました。
私のおばさんは人から頼まれるたりするのを嫌っていますが、困っている人を見捨てられない性格なので直接連れて行きました。

「おばさん。ちょっと相談があるんだけど」

私が切り出すと、

「そちらのお嬢さんは、あまり良くないねぇ。」

おばさんが言うには、友達の家の裏には山が有って山の中腹に小さな祠(高さ40cm位の)が有る。
人は、滅多に行かない所だが、友達は小さい頃近所の子供達とそこでよく遊び、帰るときにはみんなでその祠に向かって、

「今日もありがとう。ばいばい。」

と言って帰ってい行ったらしい。
その後、年を経る毎にその場所には誰も行かなくなりその後その祠も荒れ果てていると言うことでした。

「一度、そこへ行ってみようか。」

と言うことになり3人で車で向かいました。
途中、車を置いて友達の案内でその場所に向かいます。

「分かるかなぁ」

友達もかなりの年月が経っているので心配そうでしたが、すんなりとその祠のある場所に到着しました。
その祠は、どこにあるか分からない位雑草に覆われ、見つけた時には見る影も無いほどボロボロになっていました。
周りの雑草を抜き、持ってきた御神酒を備えて柏手を打ちました。

「お嬢さん、祠の中にあなたの忘れ物があるよ。」

と言いながら祠の小さな扉を開けると中から糸に通したドングリの首輪が出てきました。
それを見た途端、

「これ、あたしのだぁ。」

と友達は泣き崩れてしまいました。

その後、おばさんは祠に向かって何かしていましたが、私たちには何しているのか分かりません。
その祠に別れを告げ3人は帰路に向かいます。

途中、

「寂しかったんだねぇ。何で、お嬢さんを呼んだか知れないけど来てもらいたかたんだねぇ。」
「おばさん、あの子が言うには、”フォーフォッ。”って声がするって言ってたけどもうしないよね。」
「もう無いよ。あれはね、”コォーフォッ。”じゃなくて、”来−い、来い”って呼んでたんだよ。」

その後、友達の悩みも解消され元気に生活しています。

でも、例の祠へは怖いのでその後近くへも行っていないと言うことです。


<里美さん>