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クラブのOB会

2007/05/06


大学を卒業して十数年経ちます。

自分も含め当時の仲間は各々に家庭を持ち、自然と連絡も途絶えて疎遠となっていました。
ある日、何気なく見たポストに1通の封書が入っていました。
送付人は、”斉藤英輔”とありました。
こいつは、大学時代の悪友で2人が発起人となってサークルを立ち上げ、やりたい放題の
いい加減なことをやっていました。

手紙には、

”○月×日 19:00 ○○食堂 で OB会を開催します。振るって...”

とあり、自分は懐かしさの為か当時の思い出に酔いしれていましたが、

「えっ、○月×日!」

OB会は、今日でした。大学がある県まで今から急いで行けば19:00は間に合わなくても
1時間遅れ位なら行ける為、本日の仕事/予定は全てキャンセルして向かいました。

目的地の駅に到着してのは19時を少し回ったくらいでした。
ここから○○食堂まで30分。
駅から商店街を抜け住宅地を過ぎたところに学生相手の○○食堂があります。
昔とちっとも変わらない町並みを歩いていると懐かしさのあまり涙が出ます。
実際、まったく変わっていないのです。

店に着くと周りのまばらな家々は薄暗く○○食堂だけが浮き出るかのように明るく
輝くように存在感を示していました。
中からは歓談の声、大きな罵声、笑い声、ちょっとシャイな気分になって入るのが躊躇われましたが
思い切って、ガラスの引き戸をあけると、ピタッと今までの騒音が止まり全員が一斉に
私を見上げます。俺って、そんなに変わった?暫くの沈黙後、

「おおっ、着たか..」

斉藤英輔が私の傍に来て挨拶を交わしたと同時に

「遅えぇよ」

と皆からの罵声とともにワイワイガヤガヤとなりました。
皆、昔と変わらず全員の顔と名前が一致します。
中年太りになったのは自分だけと言っていいほど、皆気持ち悪いくらい昔のままなのです。
まぁ、とりあえずと ビール大ジョッキをイッキ飲みすると直ぐにいい気持ちになって
皆の輪の中に溶け込み昔話やら女の話やら学生時代にかえった様に楽しい時間が過ぎてゆきました。
いつもなら、これぐらいの酒なんともないと言う位の量でしたがべろべろになった私は
斉藤英輔のアパートに泊めてくれると言うことで名残惜しい気持ちを振り切って店を出ました。
それからの記憶は、パッタリと無いのですが翌朝目覚めると、母校の大学の学食の前でした。
夏だったので、しこたま蚊にさされていました。
アパートに行ったはずなのに何でここに寝てたんだろうと不審に思いましたが、とりあえず
斉藤英輔のアパートに向かおうと大学の正門を出たとき、そのアパートの場所がわからないことに
気がつき、では連絡しようと思ったのですが連絡先もわからずじまいでした。

駅に向かいながら気がついたのは、廻りの景色が全く違っていたことです。
区画整理だからでしょうか、町並みは整備され立派な道路、洒落た家々、昔の面影など全く無く
別の町と言っても過言ではない程変わっていました。
おかしい!と、○○食堂へ向かったのですがそこは公園となっており、自分は公園の前で呆然と
していました。

話はそれだけなのですが、実に理解できない体験をしたことは事実です。
後日談ですが、いろいろ調べて斉藤英輔をはじめ、数人の仲間に電話して所在を確かめて
存命は確認しました。そこでひと安心して、本当のOB会の開催の約束をしお互い密に連絡を
取り合うことにしました。

自分は、あの日の事は誰にも話していません。着ていたはずの手紙もないのですから。



<よしお さん>