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287話



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2003/01/24


まだ入社したての頃は毎日へとへとになり、帰るとそのまま倒れるようにして眠った。

そんなある日、明け方に夢の中で誰かに胸を押される感じを覚えた。
少しづつ苦しくなってきたので目がさめかけたとき、金縛りにあった。
突然恐怖が湧いてきて、闇雲にお題目を唱えた。
口はうまく動かなかったのでモゴモゴしていたが、その内に金縛りは消えた。
怖くてめが開けられず、そのまま布団をかぶっていたらいつの間にか寝ていた。
朝になって、あれは夢だったのかなと考えながら起きたが、何だかスッキリしなかった。

その日は金縛りのことは忘れていたが、また布団に入る間際になって急に昨晩の事が頭に
浮かんできた。
でも、あれはきっと疲れていたからで2日連続の金縛りはないだろう、と勝手に納得して
眠った。

しかしその夜、また夢の中で誰かに胸を押される感じを覚えた。
前回より力が強まっていた。
今回はすぐに目が覚め、明らかに金縛り状態であることが分かった。
さすがに2回目ともなると多少落ち着いて、ゆっくりとお題目を唱えた。
すると同じように金縛りは消えた。
今度は目を開けてやろうと思い、ガバッと起きあがったが部屋には誰もおらず、
時計は2時過ぎを指していた。
拍子抜けしてそのまま寝入ったが、朝起きると以上に体がだるいのを感じた。
会社でも顔色が悪いと言われ、金縛りって疲れるものなんだなと暢気に考えていた。

その晩、今日またあの金縛りがあったら今度はどうなっちゃうんだろうと
思うと少し不安になったが、疲れていたのでそのまますぐに寝てしまった。
やはりその晩も来た。
しかも今回はものすごい勢いで胸をグッと押されたので息が出来なくなってしまった。
あの時は本当に

「殺される」

と思った。
その次の瞬間、目の前に信じられない光景が広がった。
真っ暗な空間に無数の顔、また顔が浮かんでいるのだ。
薄暗くて全体はぼんやりとしか見えないが、不思議にも一つ一つの顔にスポットライトが
当たるように見えるのだ。
どれも寂しそうな、苦しそうな表情ばかりだった。

それを見ている内に、息が出来ずに苦しい中にもかかわらず、悲しい気持ちになった。
そして自然と

「ごめんなさい。私には何もしてあげられることはないんです。ごめんなさい。」

と心で呼びかけ、顔に向かってお題目をとなえた。
いつの間にか胸の圧力は消え顔も消えていた。

しばらく部屋の天井をぼんやり眺めていたが、いつの間にか寝ていた。
朝起きたとき、胸に痣がうっすら出来ていた。
でも怖いと言うより切ない気持ちになった。

それ以来、金縛りにも、あの顔にも会ってはいない。



<Yumikoさん>