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17話



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白い悪魔

 


幼少の頃は、危険地帯が数多くあります。

その中でも必ず、危険な目に遭う場所が有りました。

当時の家は、住宅街の一角に有り、場所的には袋小路の一番奥に位置していました。
その為、遊びに行くにもお使いに行くにも必ず家から大通り(単に車が通れる道)に出なくてはいけませんでした。

大通りへ出る為には、ある家の前を通らなければなりません。
その家には1匹のスピッツが住んでいました。
今でこそ愛くるしい純白の犬という感じますが、当時は血に飢えた白い悪魔という感じで恐怖の対象として君臨していました。

現代のスピッツは品種改良とかでおとなしくなっているそうですが、昔のスピッツはよく吠えました。
子供を馬鹿にしているのか子供と見ると

「ギャンギャン」

と歯を剥き出して威嚇します。
吠えるだけなら、反対側のに壁沿ってスピッツと目を合わせない様に下を向いて静かぁに通り過ぎれば良いのですが、かなりの確率で鎖につながれていないことが有りました。
その時は、静かに下を向いて歩いていても

「ひたひたひた」

と軽やかな足取りで近づいてきます。
この時は、静かに、吠えもしないで”ニヤッ”と笑って(そう感じていました)近づいて来ます。

「あっ、来た」

思わず足が止まってしまいます。
それからは、スピッツの思うがままとなります。

足の臭いを嗅がれ、半ズボンの裾を噛んで引っ張ぱったり、胸の当たりに前足を当てて2本足で立ったりと思う存分、もて遊ばれます。
がんばって、直立不動を維持しますが前足での”がぶり寄り”攻撃をされたりすると体制が崩れてしまうことがあります。
また、最初の頃は思わず声を出してしまうこともありました。 すると待ってましたとばかりに

「ギャンギャンギャンギャン」

と歯を剥き出して吠え掛かります。
走って逃げれば何倍もの早さで追いかけてきます。逃げる、声を出す、泣く等をしようものならスピッツの方も興奮するのか大ハッスルして吠え掛かります。時には、噛みつかれる事もありました。両親に訴えても、

「家の人に言っておくね」

と言うのですが何も改善しません。(ご近所付き合いが有ったからでしょうか)

兄と二人で、色々作戦を考えました。

作戦1:おとり作戦
これは、じゃんけんで負けた者がおとりになりスピッツの攻撃を自ら受けてもう一方は無事に大通りまで逃げる。と言う作戦でした。一回目、自分(弟)が負けておとりになり兄は無事に逃げられましたが弟の悲惨な光景を見て臆した兄が自分がおとりになることに躊躇し、この作戦は自分の犠牲を最後に、この世から永遠に消えてしました。

作戦2:おとり作戦(餌編)
この作戦は、せんべい、ビスケットなどを携帯しスピッツが近づいてきた時、反対方向に投げます。食べ物につられて離れたスキに大通りまで逃げると言うものでした。
この作戦は、効果絶大でした。誰一人被害に遭わず無事大通りまで逃げることができました。
但し、根本的な大問題が有りました。おとりとする食べ物をどうするかです。母親に訳を話して何かを貰おうとすると、

「もったいない」

と”もったいないオバケ”になってしまいます。犬にあげるのが分かっていて食べ物を得ることは不可能でした。
仕方がないので自分たちのおやつを残しておくのですが、大半は自分のおやつを犠牲にされてしまいました。

その白い悪魔も小学校に入る頃には居なくなってしまいました。長生きしたのでしょう。
しかし、白い悪魔の恐怖は暫く続いていたと記憶しています。

今でもその恐怖は自分の脳裏に刻まれています。