指きった

2001/02/13　

いきなり汚い話ですが私の子供の頃は、犬、猫、たまに、人間（拭き終わった紙が有る。）のフンが沢山落ちていました。

野良犬、野良猫も多かったのでしょうが散歩でそう言う場面に遭遇しても今の様に回収することは無かったように思います。
当然、空き地や学校で遊んで居ると必ず、そのフンを踏んでしまう者が現れます。

対象者は、最低１週間は、

「あいつ、ウンコ踏んだんだぜぇ。」

と言われ続けます。
時には、隣のクラスからも見学に来られてしまいます。
しかし、特例と言うか恩赦というか、その事実を相殺できることがあります。
この方法は、自分の町での方法です。（ローカルの話）

それは、”指きった”と言う儀式です。
”指切りげんまん”ではありません。

不幸にもフンを踏んでしまったらその場で静止し踏んだままの状態を保持します。
次に、片手の親指と人差し指で輪を作ります。（ＯＫのマークのあれです。）
その輪にもう片方の手の人差し指を通して、同じように輪を作ります。
ちょうど鎖の形になりまます。
それを一緒にいる友達に、

「切って！切って！」

と哀願します。
その時、みんな対象者の回りから離れていますが、その形の腕を前に伸ばして、

「切って！切って！」

っとお願いします。
友達の中の勇者が先ほど作った輪っかに空手チョップを繰り出して輪を切断（左右の手が放れる）とウンコを踏んだ事が白紙になると言うものです。

輪を切断した友達を何故勇者と呼ぶのか。
それは、まかり間違えて輪を切る前にウンコを踏んでいる者に触られるとウンコを踏んでなくても同様な扱いになってしまうからです。

この方法にも欠点があって、力に強い者はかならず助けてもらえるのに対して弱者は、その方法を行ってもらえず悲しい運命に陥ることが多かったからです。
また、強者に対してこの方法を躊躇すると反撃に合い全員触られて同じ”ウンコ踏み”仲間となってしまうからです。
時たま触られた中に、

「俺踏んでないからな。」

などと開き直った奴が居ると無理矢理踏まされたりしていました。
当然、弱者で、且つ、指切りを行ってもらえない奴は、泣きながら家に帰ったのは言うまでもありません。
（それ以後は、ほとぼりが冷めるまで遊んでもらえないから。）

最後に、自分一人の時は黙っていればよいので上記のような儀式は必要有りません。

よく、近くから小枝を拾ってきて踏んだ靴を脱ぎ、靴底のトレッドパターンに沿って除去したのを覚えています。
又は、道路の端の段差があるところに擦りつけて取ったのも覚えています。
一番効果的なのは、砂場で踏んだ足をツイストするとかなり綺麗になりました。

先ほど、触られると同罪になると述べましたが触られる前に人差し指の上に中指を乗せる形（エンガチョと言うのでしょうか）をするとその攻撃が防げると言う方法も有りました。

「指きったもんねぇ。」

と言って自分大丈夫だったと強調します。
これも弱肉強食、強い者ほど有利でした。