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夜釣り

2000/12/01


僕は釣りが好きでいつも堤防に夜釣りに行きます。

その日は堤防の中間でがんばっていました。
田舎の町でが夜釣りをしている人もほとんど居ません。
少し離れた所には、フル装備の東京方面から来た人たちが釣っていますが、その人達とは距離を取って釣りをしています。
真っ黒の海にキラキラと星が映るような晴天の夜空、べた凪の静かな夜でした。
それまでぼちぼち連れていた魚も一向に釣れなくなってきました。

「そろそろ、帰るか」

と思っていると岸の方から自転車の明かりが見えてきました。

「あっ、誰か来る」

と思いました最後の1匹を釣ったら帰ろうと思っていたので気にせず糸を垂らしていました。
心なしかスピードを上げている様です。
自伝車のライトの発電器の音が、

「ぐゆーんぐゆーん」

からスピード上げたときの

「ぎゅんぎゅんぎゅんぎゅん」

と言う感じでテンポが速くなってきたからです。
いつもなら、

「どう釣れてる」

等と言って寄って来るはずなのにその自転車は僕の後ろを猛スピードで通過し堤防の先端の向かっています。
40歳くらいの叔父さんでした。
僕は、

「何だろう?」

とずっと、その後ろ姿を見つめていました。

「あっ。あぶねぇ」

思った通り、その叔父さんは自転車もろとも堤防の先端の海に落ちて行きました。
あわてた僕は、竿を投げ出して堤防の先まで走りました。

「大変だぁ〜。」

まだ声に出しませんでしたが心の中で叫んでいました。
先端に着き息を切らしながら着いた僕は目を凝らして辺りの海面を確認しました。
落ちた辺りを懐中電灯で捜索しましたが、いくら見ても海面には叔父さんの姿は見えません。
真っ黒の海はべた凪で乱れた様子は有りません。

「おーい。おーい。」

と一応声を掛けましたが反応は有りません。
腑に落ちない気持ちを抑えて戻りかけたその時、有ることに気が付きました。

「あれ。おかしいなぁ、落ちたときの音がしなかったぞ」

と思った途端何か無性に恐ろしさがこみ上げてきました。
いつも1人夜釣りを楽しんでいる僕は、幽霊や何かを恐れることなく夜の海も全然平気です。
それまでだって全然平気でしたが、この時、第六感と言うのでしょうか物凄く恐怖を感じていました。
僕は、早足に自分の釣り場に戻り荷物をまとめて帰りかけたときでした。
直ぐ近くの海から、

「バシャバシャ」

と海面を叩くような音がします。

「ひゃーっ。」

思わず悲鳴を上げてしまいました。
その音の方を見たとき、海面であぐらをかいて僕の方を見ているさっきの叔父さんが居たからです。
夢中で逃げました。
その時、

「お〜い、待〜ってくれ〜ぇぇ」

となにやら不気味に間延びした声が直ぐ後ろで聞こえてきました。
僕の恐怖は最高潮に達し後ろなど振り向かずにそのまま家まで全力疾走で帰りました。

一応、翌日の地元新聞を確認しましたが、昨日あの堤防での事故は有りませんでした。

本当に恐ろしかったです。


<タカオさん>